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英国会社向けコンプライアンスガイド

英国会社向けコンプライアンスガイド

特に明記しない限り、本ガイドで紹介される英国会社とは、英国の2006年会社法(The Company Act 2006)に基づき設立された非公開株式会社(Private Company Limited by Shares)を指します。

イギリスで設立された会社は、イギリスの会社法、関税及び内国税法(Customs and Inland Revenue Tax Act)の規定に基づき、イギリスの住所を会社の登録住所として登記し、年に1回の株主総会を開催し、確定申告書(Statement of Confirmation)を提出し、財務諸表を作成しなければならず、且つ特定の規定に従いその年次財務諸表に対する監査が公認会計士によって行われなければなりません。また、会社は期限内に歳入関税庁(HMRC)へ法人税申告書及びその証明書類(年次財務諸表及び納税申告書等)を提出する必要があります。

本ガイドでは、英国会社に対する各維持、コンプライアンス及び関連する費用を紹介します。第1節から第5節までは、英国会社に対する各維持、コンプライアンス要求について述べます。第6節では英国会社の維持に必要な最低限の費用について紹介します。本稿に記載されている費用が概算額だけであり、あくまでも参考用です。最終的な金額は実際状況によります。

本ガイドは英国会社の英国法律法規に基づくコンプライアンス及び申告義務を全てカバーしているものではありません。本ガイドについてご不明な点がございましたら、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

本ガイドは特定の事業活動に必要な免許・許可をカバーしていません。英国会社の事業活動が酒類・たばこ販売等の規制業種に該当する場合は、特定の免許。許可の別途申請が必要です。詳細について当事務所までお気軽にお問い合わせください。

  1. 会社法によるコンプライアンス要求

    1.1
    会社秘書役(Company Secretary)

    英国会社法により会社秘書役を選任する要求がありませんが、秘書役を利用し取締役の役割の一部を負担させるために、秘書役を選任する会社は少なくありません。

    会社秘書役は会社の取締役が兼任できますが、以下の者であってはいけません。
    (1) 会社の会計監査人
    (2) 債務を負担している破産者(法廷に承認される場合を除く)

    個人が破産した場合、借金を帳消しにした後に破産者に課される制限は解除されます(「免責」と言われる)。破産者名簿を通じて個人の債務が免除されたかどうかを調べることができます。

    1.2
    登録住所(Registered Office)

    英国会社法の要求により、全ての英国会社は設立日から英国における登録住所を有しなければなりません。登録住所は、会社までの連絡・通知を受け取れる住所です。会社登記所(Companies House)はメールアドレスを会社の登録住所とすることを認めません。英国会社の登録住所は設立地における住所でなければなりません。従って、イングランドやウェールズで設立された会社はイングランドやウェールズにおける住所を有しなければなりません。同様に、スコットランドの会社もスコットランドにおける住所が必要です。

    英国の法令に基づき、英国会社は取引先に連絡したとき、会社の登録住所を明示する必要があります。インボイスやレターの上にも登録住所の明示が必要です。英国会社の会社名は登録住所に明示されなければなりません。例えば、住所がオフィスビルにある場合、オフィスビルの入り口に会社表札を貼り付ける必要があります。英国の2006年会社法により、英国会社はその公式サイトにも登録住所を明示する必要があります。

    1.3
    現地取締役(Local Director)

    英国会社法の要求により、全ての英国会社は取締役を1名以上選任しなければなりません。取締役の主な役割は会社の経営管理を担当し、且つ正確な財務諸表や報告書などの作成を確保することです。

    会社の取締役は16歳以上であり、且つ取締役に就任する資格を取り消されたことがない者でなければなりません。

    英国会社の取締役は英国の非居住者でも、世界中どこに住めてもできます。取締役に任命されても英国に住む必要がありません。

    取締役の氏名及び個人情報は会社登記所に開示されています。取締役はサービス住所(又は連絡先の住所)を提供しなければなりません。当該住所も会社登記所に開示がされています。取締役は自宅の住所を使用する場合、会社登記所に記録簿から当該住所を削除することが要求できます。

    1.4
    現地取締役(Local Director)

    英国の2006年会社法の規定に基づき、英国会社は以下のいずれかの変更が生じたときには、会社登記所に申告しなければなりません。
    (1) 会社の高級職員の変更、又は高級職員の個人情報の変更
    (2) 会社の登録住所の変更
    (3) 株式分配の変更
    (4) 会計年度の変更
    (5) 変更登記(会社を含んでいる利害関係者による変更登記)
    (6) 会社名の変更
    (7) 定款の変更

    なお、会社の議事録および名簿・登記簿を会社の登録住所又は指定の住所に保存する必要があります。

    1.5 確定申告書(Statement of Confirmation)

    全ての英国会社は会社登記所に確定申告書を年1回に提出しなければなりません。確定申告書を提出する目的は以下の情報を申告することです。
    (1) 会社の登録住所
    (2) 会社の主たる事業活動
    (3) 株主名簿の保存住所
    (4) 会社の種類(例えば株式有限責任会社又は保証責任有限会社)
    (5) 取締役の氏名と住所
    (6) 秘書役の氏名と住所(適用される場合)
    (7) 発行可能株式総数、額面金額及び株式の権利
    (8) 会社債券の保存詳細(適用される場合)

    英国会社は期限内に確定申告書を提出しなかった場合、罰金が発生しません。但し、規定に従い期限前に確定申告書を正確に提出してなかった場合、会社又は取締役が会社登記所に罰される可能性があります。例えば、会社又は/及び取締役が起訴され、又は法人登記が抹消されます。

  2. 税法によるコンプライアンス要求

    2.1
    法人所得税の申告

    英国会社は法人税申告書(Corporate Income Tax Return)を作成し、英国歳入関税庁(HMRC)に提出しなければなりません。税金を納める必要がなくても、法人税申告書の提出が必要です。会社が休眠中のため英国歳入関税庁によって別の要求がされる場合、この限りではありません。

    法人税申告書には、以下の内容が含まれますが、これらに限定されません。
    (1) 固定資産の購入に対する減価償却(Capital Allowance)
    (2) 資産の売却価格が元の購入価格を上回ることによって生じた収益
    (3) 会社の会計年度末までに未返済の取締役借金
    (4) 税金を支払うために返済する取締役借金
    (5) 税金の減免
    (6) 前年度の欠損金の繰越控除

    法人所得税の納付期限は会計期間終了後9ヶ月と1日までです。法人税申告書の申告期限は会社の会計期間終了後12ヶ月です。大企業と定義されている会社は、英国の法人税を四半期ごとに納める必要があり、第1期の納付期限が会計期間開始後の6ヶ月と13日までです。法人税を滞納した場合の罰金は以下の通りです。

    延滞日数

    罰金

    1

    100ポンド

    3ヶ月

    200ポンド

    6ヶ月

    HMRCが概算した未納付の税金額に10%の罰金を加える

    12ヶ月

    HMRCの概算した未納付の税金額に10%の罰金を加えた後に追加10%の罰金を加える


    英国会社は3回連続で提出期限までに提出できなかった場合は、100ポンドの罰金が500ポンドまでに引き上げられます。

    2.2
    付加価値税(VAT)の登録

    (1)  付加価値税の登録

    付加価値税とは、英国政府は英国内で提供される商品・サービス、及び英国へ輸入する物品に対する税金です。付加価値税は消費税(GST)と似ていますが、同じではありません。

    英国における物品・サービスの提供者の年間売上が85,000ポンドを超え、又は85,000ポンドを超える見込みがある事業者(有限責任会社、パートナーシップ企業又は独資企業)は、歳入関税庁にVAT登録する必要があります。前述の年間売上とは、12ヶ月の期間内、つまり毎年の4月6日から翌年の4月5日までの期間の売上を指し、英国の会計年度の売上ではありません。

    但し、年間売上が85,000ポンド未満でも、VATの任意登録はできます。VAT登録のメリットは二つあります。1つ目は会社のキャッシュフローが増加することです。2つ目は顧客からの信頼が増えることです。なぜかというと、VAT登録をしていない英国会社は規模が極めて小さいからです。

    (2)  付加価値税の申告と納付

    一般的に、全ての会社は四半期ごとにVATを申告・納付しなければなりません。会社は月ごとに、又は1年ごとに申告・納付することもできます。

    VATの申告・納付の期限は、VAT課税期間終了後1ヶ月を経つ日から7日以内までです。例えば、英国会社は四半期ごとにVATを申告する場合、2022年第6月30日の第二四半期VAT申告・納付の期限は2020年8月7日です。申告期限までにVATの総額を英国歳入関税庁(HMRC)の銀行口座に振り込まなければなりませんのでご注意ください。

    2.3
    PAYE

    PAYE(Pay As You Earn)とは、個人所得税及び国民保険料(National Insurance Contributions)を徴収する累積源泉徴収制度です。課税対象期間は毎年4月6日から翌年の4月5日までとなります。普通の従業員としては、給料の総額に基づき計算すると税額がわかります。雇用主としては、PAYE制度を維持する義務があり、当該業務を会計士又は当事務所に委託することができます。当事務所は当該サービスを提供することができます。

    PAYE制度により、英国会社は雇用主として、従業員の給料からその個人所得税及び国民保険料を差し引いてからHMRCに支払う必要があります。英国会社は雇用主負担分の保険料(Employer’s Class 1 National Insurance Contributions)を納付する義務もあります。

    また、英国会社は定期的にHMRCに所得税及び国民保険料の予定金額及び納付済額が記載された申告書を提出する必要があります。

  3. 年次財務諸表及び監査

    3.1
    財務諸表

    英国の会社法に基づき、全ての英国会社は毎年年次財務諸表を作成・提出しなければなりません。当該財務諸表は法定財務諸表と言われます。

    法定財務諸表には以下の書類が含まれています。
    (1) 貸借対照表(会社が会計年度末に有する資産及び負債の価値を表す報告書)
    (2) 損益計算書(会社の会計年度における収益及び原価を表すもの)
    (3) 財務諸表の注記
    (4) 取締役報告書(微型企業を除く)

    英国会社の取締役は、次の方に対して法定財務諸表を開示する義務があります。
    (1) 会社の株主全員
    (2) 会社の年次株主総会に出席する権利がある者
    (3) 英国会社登記所
    (4) HMRC(会社の税務申告の一部)

    会社登記所及びHMRCへの財務諸表の提出期限が違いますが、財務諸表及び税務申告書を会社登記所及びHMRCに同時に提出することはできます。

    英国会社は小型、微型又は休眠会社(事業を行っていない会社)に属する場合、簡単な財務諸表を提出することができます。

    3.2
    会計監査人の選任

    英国会社法の規定に基づき、全ての会社は会計年度ごとに会計監査人(Auditor)を選任しなければなりません。取締役会が会社法の規定により、その年次財務諸表を監査する会計監査人を選任する必要がないという理由で、監査人を選任しないことにした場合は別です。

    初代監査人が取締役会によって選任されるのは一般的です。取締役により選任された監査人の任期は、第一回株主総会の終結時までです。会社は株主総会で当該監査人を再度選任し、又は他の監査人を選任します。新任監査人の任期は、選任日から財務諸表を提出する次回の株主総会の終結時までです。

    ただし、英国会社は決議書を通じて、株主総会で財務諸表を提出しないことを説明することができます。もし当該決議が可決されると、会社は財務諸表を株主に提出した日から28日以内に株主総会を開催し、且つ会議で監査人を再度選任し、又は他の監査人を選任する必要があります。

    監査人の役割は、会社の全ての財務諸表を監査し、監査報告書を作成して株主に提出することです。監査人の主たる業務内容は、会社法に従い、株主に関係状況を報告することです。監査人は、その会計年度の賃借対照表、損益計算書を含んでいる財務諸表に対する真実かつ公正な意見を表明するとともに、関連会計帳簿が財務諸表の枠組みに沿って作成され、且つ国際会計基準及び法規の要求に該当することを確保します。

    3.3
    会計監査の免除

    英国の2006年会社法に基づき、いずれの企業グループにも属しない独立な会社(stand-alone company)は、会計監査義務が免除されます。

    英国会社は、本年度と前年度にも要件を満たさないとともに、以下の3つの条件から2つ以上を満たす場合に、小規模会社に属し、法定の監査義務が免除されます。

    項目

    閾値

    売上高

    1,020万ポンド

    賃借対照表の総額(資産総額)

    510万ポンド

    従業員数

    50


    上記は会社の最初の会計年度、又は連続する2つの会計年度を要して性質を変える会社に適要されます(即ち、その後の会計年度の賃借対照表日に、会社が小規模会社の資格要件に満たし、又は満たさないことを確認する)。上述のことは、連続する2つの会計年度に発生する場合だけが、小規模会社の資格が変わります。

    英国会社は企業グループの一員でありかつ小規模会社である場合には、監査義務が免除されます(上述の小規模会社の資格要件が適用されます)。小規模グループとみなされたければ、以下の3つの条件から2つ以上(純閾値又は総閾値)を満たさなければなりません。

    項目

    閾値

    総閾値

    売上高

    1,020万ポンド

    1,220万ポンド

    賃借対照表の総額(資産総額)

    510万ポンド

    610万ポンド

    従業員数

    50

    50


    純:連結勘定科目に基づく
    総:グループ内の取引又は残高を控除する前に、各口座を合算する。
    注意:上記閾値はグループに属する世界中の会社に対するものです。

    上記は会社の最初の会計年度、又は連続する2つの会計年度を要して性質を変える会社に適要されます(即ち、親会社のその後の会計年度による賃借対照表日に、グループが小規模グループの資格要件に満たし、又は満たさないことを確認する)。上述のことは、連続する2つの会計年度に発生する場合だけが、小規模グループの資格が変わります。

    3.4
    年次財務諸表の申告要求
       
    英国会社の年次財務諸表は通常、会社の会計年度終了後9ヶ月以内に会社登記所に提出しなければなりません。期限内に申告できなかった場合は、以下の罰金が発生します。

    申告日

    罰金

    期限後1ヶ月

    150ポンド

    期限後13ヶ月

    375ポンド

    期限後36ヶ月

    750ポンド

    期限後6ヶ月を超える

    1,500ポンド


    会社は翌年にも期限後申告をした場合、罰金が倍に増えます。会社は年次財務諸表を継続的に申告しない場合、会社の取締役が起訴され、会社の法人登記が抹消され且つ会社の資産が没収される可能性があります。

  4. 企業年金制度

    2008年年金法(The Pensions Act 2008)に基づき、英国の全ての雇用主は従業員を企業年金に加入させ、且つ拠出金を支払うことが義務付けられます。これは「自動加入制度」と言われます。1名以上の従業員を雇用した者は雇用主とみなされ、特定の法律責任を持っています。

    英国会社は現在又は将来に最低1名の従業員を雇用する場合に、22歳以上定年年齢未満であり、週収192ポンド(月収833ポンド又は年収10,000ポンド)の従業員を企業年金に加入させなければなりません。企業年金への自動加入義務は1人目の従業員を雇用する日から発生します(義務発生日)。

  5. ビジネスライセンス

    設立された英国会社は、いかなる業務を経営してもいいというわけではありません。業務内容によって、政府に特定の免許又は許可を申請する必要があるかもしれません。ビジネスライセンスは、政府機関又は専門機構によって発行された許可証であり、企業が指示に従って特定の事業活動をどのように行うことを指導するものです。

    英国会社が経営する業務の性質、産業及び営業所の住所によって、必要な免許又は許可が異なります。ビジネスライセンスを要する最も一般的な事業活動は、酒類・たばこの販売及びギャンブルに関連する事業です(例えば、アルコール飲料を販売するバー・クラブ、又はカジノ)。

    また、経営する事業は肉類、乳製品などの動物由来食品の処理・準備に関わる場合、現地政府に食品経営許可証(Food Business Approval)を申請する必要があるかもしれません。許可申請が承認されたら、現地政府に登録を再度申請する必要がありません。

    飲食店、仕出し屋又はバーなどでアルコールを販売・提供する場合には、関連ライセンスの取得が必要です。ライセンスには、施設ライセンスと個人ライセンスの2種類があります。一般的には、施設ライセンスの取得に加えて、個人ライセンスを有する者を施設管理者とする必要があります。

  6. コンプライアンス・コスト

    上述の通り、英国会社は会社登記所で設立されると、英国の会社法及び税法の各規定(例えば会計年度の決定及び会計監査人の選任等)に従わなければなりません。また、会社は規制される業務を行う場合には、関係監督部門に免許又は許可を申請する必要があります。当事務所は、英国会社に対して会計記帳、財務諸表監査、税務申告、給与計算及び支払代行等のコンプライアンスサービス・業務支援サービスを全面的に提供しています。英国会社に対するサービスの内容及びその費用は下表をご参照ください。

    項目

    サービス内容

    費用(英ポンド)

    基本的な年間維持サービス

    1

    会社登録住所

    1年間

    2

    年次株主総会の書類の作成及び確定報告書(旧称、年次報告書)の提出

    1年間

    小計:

    500から

    その他維持サービス(必要な場合)

    3

    年次財務諸表の作成と提出(休眠会社)

    1年間

    200

    4

    会計記帳

    1ヶ月間

    200から

    5

    法人税申告

    1年間

    300から

    6

    VAT登録(任意登録)

    1

    300

    7

    VAT登録(強制登録)

    1

    300

    8

    VAT申告

    3ヶ月間

    200

    9

    年次財務諸表の法定監査

    1年間

    1,000から

    10

    未監査財務諸表の作成

    1年間

    600から

    11

    給与サービス

    1ヶ月間

    50/


参考资料:
英国有限会社設立の手続きと費用
英国会社登記抹消の手続きと費用
イギリスの商標登録の手続と費用

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