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香港会社の設立と維持のマニュアル(15) 清算により香港会社を閉鎖

香港会社の設立と維持のマニュアル(15) 清算により香港会社を閉鎖

一般的に、香港において会社を閉鎖するための法的手続きは、全部を完了するに数ヶ月かかります。

香港会社は、「登記抹消」又は「清算」によって閉鎖することができます。上記の2つの方法は会社を解散することができますが、申請の流れが異なります。

「有限会社」のみは清算されることができます。「有限会社」は、「会社条例」に基づき設立された会社であり、独立した法人格を有する事業体でもあります(即ち第三者を訴える又は第三者に訴えられることができる)。有限会社は、「清算」の法的手続きを通じて全ての資産を売却し、債務を返済し、最終的に会社を解散することができます。

本稿では、香港有限会社の清算について説明します。香港会社は、任意清算又は強制清算のいずれを通じて会社を閉鎖することができます。

  1. 任意清算(Voluntary Winding up)

    香港会社の株主又は債権者は会社の任意清算を申請することができます。まず、特別決議を起草・可決し、且つ会社の任意清算を公告するために、15日以内に官報に掲載する必要があります。会社の清算手続きは決議を可決した日から始まります。

    1.1
    会社の株主による任意清算

    会社の株主は、会社が清算手続きを始めてから12ヶ月以内に全ての債務を支払う能力を有すると判断する場合、任意清算を行うことができます。

    会社は、任意清算を行うために、まず取締役会を開催し、過半数の取締役の承認を取得する必要があります。会社の取締役は、会社の清算手続きを始めてから7日以内に会社登記所に『支払能力宣言書』(Declaration of
    Solvency)を提出し、会社の直近の財務諸表に基づいて貸借対照表を作成する必要があります。

    会社は、取締役会で最低1名の清算人を委任する必要があります。通常、清算申請の準備及び提出をサポートするために、申請会社は臨時清算人として弁護士又は専門の会計士を雇用します。会社は書面で清算人を決定する必要があります。会社は清算日から15日以内に、臨時清算人の任命及び会社登記所への『支払能力宣言書』の送付が官報に掲載する必要があります。清算人はまた、任命日から15日以内に会社登記所に申告しなければなりません。

    取締役は会社登記所に『支払能力宣言書』を提出した後28日以内に、臨時株主総会を開催する必要があります。臨時株主総会の目的は、特別決議を可決して会社を閉鎖し、且つ一般決議を通じて清算人を委任し、その報酬を決定することです。会社は、任意清算に関する特別決議を可決した後15日以内に、その決議を官報に掲載する必要があります。任意清算は株主総会での特別決議の可決日から始まります。清算人又は臨時清算人は、会社条例に従って会社の清算業務を処理し、必要な通知書を提出します。

    清算が1年を超える場合、清算人は清算日から1年目及び以降の各年の終わりに株主総会を開催し、会議において清算の進捗状況報告を提出する必要があります。全ての清算業務を完了した後、清算人は清算に関する報告書を作成し、清算の詳細及び会社の資産をどのように処分したかについて説明します。その報告書は株主総会を開催する1ヶ月前に官報に掲載される必要があります。清算人は、会議後の1週間以内に、その報告書及び関連の財務諸表を会社登記所に提出し、且つ当該会議の開催日及び開催場所を申告する必要があります。会社は、会社登記所が報告書を受領した後3ヶ月が経過した時点、又は香港法院によって規定される日で、正式に解散します。

    1.2
    債権者による任意清算

    会社が『支払能力宣言書』を提出できない場合、債権者による任意清算を行う必要があります。会議を開催して特別決議を可決した後の14日以内に債権者集会を開催しなければなりません。会社は、債権者集会の通知書を官報に掲載し、且つ香港で販売されている英語の新聞及び中国語の新聞に掲載する必要があります。また、会社の取締役は、債権者集会で会社業務の詳細の説明書、会社の債権者のリスト及びそれらの債権者が請求する見積金額を提出する必要があります。債権者は、会議で1名の清算人を選出し、及び(又は)検査委員会を委任する必要があります。債権者による任意清算の流れは会社の株主による任意清算の流れと大体同じです。

    清算日から、会社は事業を停止しなければなりません。但し、会社の閉鎖に対して有利である場合、会社の一部の事業を継続することができます。清算人の在職期間中、清算人が取締役が引き続き権限を有することを別途に規定しない限り、取締役の全ての権限は停止します。清算人の承認がない限り、任意清算が開始された後に清算人に行われなかった、又は清算人が承認しなかった株式譲渡、会社メンバーの変更は無効となります。

  2. 強制清算(Compulsory Winding up)

    2.1
    強制清算の要件

    香港特別行政区高等法院(裁判所)の強制清算の要件は以下の通りです。

    (1)会社が10,000香港ドル以上の債務を返済することができない場合

    (2)法院は会社が公平かつ公正で清算すべきと判断する場合

    (3)会社は特別決議で清算を法院によることを可決する場合

    上記の要件の他に、法院は会社の実際状況(例えば、会社が債務支払能力を有するか否かこと)、及びその他の解決策があるか否か(例えば、資産が不当に侵害された株主の株を買収すること)に基づいて判断します。

    2.2
    強制清算申請の提出

    会社の全ての債務者、株主又は会社自体は、清算を申請することができます。申請書は『会社(清算)条例』に従って作成しなければなりません。その申請に関する公告は申請の受理から7日以内に官報に掲載され、且つ香港で販売されている英語の新聞及び中国語の新聞に最低1回掲載する必要があります。申請書の捺印済のコピーは会社登記所又は主たる事務所に送付し、申請書が提出されてから4日後、申請書を確認するために法院に宣誓供述書を提出する必要があります。

    法院に清算申請を提出すると、会社清算が始めると見なされ、審問が行われます。法院は申請を承認した場合、聴聞会で清算令を出します。清算令の発行前に他の臨時清算人が指名されない限り、その他の臨時清算人が委任されるまで、破産管理処処長は自動的に会社の臨時清算人を務めます。臨時清算人は会社(資産及び会計帳簿)の管理を引き継ぎ、会社の業務を調査します。

    会社の資産が200,000香港ドル以下である場合、破産管理処処長の代わりにその他の者を臨時清算人に委任することができます。会社の資産が200,000香港ドル超である場合、臨時清算人は債権者集会及び株主総会を開催し、清算人及び検査委員会を委任する必要があります。清算人は、会社を調査し、その資産を売却し、債権者に債務(有する場合)を支払う必要があります。会社の事業が完全に清算された後、会社は解散します。

    2.3
    強制清算の影響

    • 会社の債務者又は清算人について

      清算令が出された後、法院の承認なしに会社に対して訴訟手続きを継続または開始することはできません。言い換えれば、会社に対する他の全ての法的手続きは、清算令が出された際にに自動的に中止又は凍結されます。

    • 会社の債権者又は従業員について

      清算令が出された後、会社の債権者は初回「債権者及び分担者会議」に出席することを要します。その会社の取締役又は責任者は会議で会社事業宣言書を提出します。その宣言書は貸借対照表と同等のものであり、会社の全ての資産及び負債の詳細が記載されています。

      また、決議により更なる清算を行うことができます(例えば、臨時清算人に代わる清算人の委任、検査委員会の委任など)。

      債権者は会議に出席できない場合、会議に出席する代表者を委任し、債権者の意思に応じて投票することができます。債権者は、一般代理人又は特別代理人の委任書を記入し(債権者が特別決議に投票する必要がある場合)、破産管理処処長の住所に送付することができます。

    • 会社の株主又は取締役について

      清算令が出された後、株式有限責任会社の場合、株主の責任は保有している株の価値に限ります。上記の場合に、株主はその未払込株式の価値を除き、その他の責任を負いません。一方、保証有限責任会社の場合、会社の株主の債務上限は、会社が清算された後、約束された会社に支払う一定の金額に限ります。

      会社取締役は会社から不法の利益を得たり、職務を怠ったりしない限り、個人で債務を負う必要がなく、清算令が出された後、会社取締役としての権限は失います。

  3. 清算手続き

    具体的には以下の通りです。

    順番

    手続き

           1      

    関連会社に債務返済の通知書を送付する

           2      

    法院、破産管理処処長及び関連会社に清算申請書を提出する(備考)

           3      

    法廷は申請を受領する

           4      

    法院は清算令を出す

           5      

    会社の全ての債権者はその他の関係者と会議をする

           6      

    清算人を委任する

           7      

    会社の資産を売却して債権者に債務を支払う

           8      

    清算人を解任する

           9      

    会社を解散する


    備考:清算手続きは申請書が提出される時に正式に始めます。

  4. 会社清算記録の検索

    公衆はhttps://www.gov.hk/en/business/registration/deregistration/compulsory.htmを利用してオンラインで検索し、ある会社が清算されたか、又は清算されているか否かを確認します。

    その検索サービスは一般向けですが、検索に費用が必要です。検査は1回あたり80香港ドルであり、PPSまたはクレジットカード(VISA、MasterCard、JCB、又は銀聯)で支払うことができます。

    オンライン検索サービスに加えて、自ら検索することができます。公衆は香港金鐘道66号金鐘道政府合署10楼のカウンターに行き、申請書を取得且つ記入し、又はその場所にあるコンピューター端末装置を使用して検索を行うことができます。

    破産管理処は、任意清算の会社(即ち法院の命令で清算されることでない香港会社)の記録を保存していないことに注意してください。特定の会社の任意清算に関する情報を入手する必要がある場合、会社登記所に連絡しなければなりません。

  5. 清算申請の結果

    清算手続開始後(即ち、清算申請書の提出後)、会社条例の第182条により、清算される会社の全ての資産処分は無効になります。言い換えれば、会社の資産を譲渡することはできず、銀行は通常、清算手続き開始後に会社の口座を凍結します。

  6. 終わりに

    以下の全ての清算業務を完了した後、清算人は法院に解任を申請することができます。

    (1)会社の全ての資産は売却された、又は引き出された

    (2)清算手続きに関する調査を完了した

    (3)最後配当(有する場合)は債権者に返済された

    清算人は、清算時の関連する領収書及び収入支出の概要とともに、自ら法院に解任を申請し、会社の債権者及びメンバーに通知する必要があります。全ての債権者又は分担者は、通知日から21日以内にその申請の反対意見書を提出することができます。

    清算人は、法院からの解任命令を取得した後、会社登記所の所長に「清算人解任証明書」を提出します。「清算人解任証明書」の提出から2年後、会社は解散します。

参考資料:
  1. 「香港税務申告サービス」
    https://www.kaizencpa.com/jp/Services/pinfo/id/21.html
  2. 「香港株式会社登記抹消の手続き及び費用」
    https://www.kaizencpa.com/jp/Services/pinfo/id/19.html

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